【事例】農業体験ができるベトナムのリング型幼稚園 / Vo Trong Nghia Architects

「農場のような幼稚園」というコンセプトでつくられた、ベトナムの幼稚園「Farming Kindergarten」。幼稚園の屋根の緑道は花壇や畑でできており、農業を体験しながら食べ物の知識をより身近な感覚で学べるといい、世界中が注目する学びの場のデザイン事例です。

【ベトナム特集♯5】世界が注目する持続可能な農業幼稚園。そのデザインに込められた、ある日本人建築家の想いとは? | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD

絶え間なく走るバイク。大気汚染。近年、目覚ましい発展を遂げているベトナムの温室効果ガス排出量は世界と比べても著しく伸びている。そして農業大国であるにもかかわらず、急速な都市化で緑地は減少し、都市部では自然とのつながりを失いつつある。一体、ベトナムの子どもたちはどこで遊ぶというのだろうか。 そんな社会状況を背景にして生まれたのがベトナム東南部、ドンナイ省にあるFarming Kindergarten(農業幼稚園)である。今や世界中から見学者が殺到するその農業幼稚園は、「子どもたちに自然からもっと学んで欲しい」という建築家たちの熱くやさしい想いからつくられた。巨大な靴工場の敷地内に建てられた幼稚園には、工場で働く低所得のワーカーの子どもたち500人が通う。 設計を担当したのはベトナムを代表する建築事務所であるVTNアーキテクツだ。デザインは、日本で国家留学生として長く学んだ経験を持つ主宰者ヴォ・チョン・ギア氏と、パートナーとして活躍した日本人建築家の丹羽隆志氏、そして岩元真明氏によるものである。 「最初はもっと保守的な案だったのです。」そう語るのは、この農業幼稚園のデザインに関わった日本人建築士のひとり、丹羽氏だ。 「幼稚園の設計企画を出した後、最初に選んでもらった案に納得がいかず、『もっと飛躍したい』と無理を言ってデザインが進む前に1週間、待ってもらったんです。」 どうせつくるのならいいものにしたかった。そう語る丹羽氏はパワーポイントのページをめくり、農業幼稚園への想いを口にした。 子どもたちに緑とのコミュニケーションを Image via Farming Kindergarten / photo by Hiroyuki Oki 特徴的なのは、その形である。この大きなリング型の建物を見て、誰が幼稚園だと想像するだろうか。1ヘクタールの大きな土地を、500人の子どもたちで最大限に活用するために、2階建ての一筆書きのリング型の屋根になったという。屋根の屋上緑地部分は農業用耕地としても使われており、教育用の野菜畑でもある。子どもたちのランチの30%〜40%が、この畑でできた野菜でまかなわれている。

IDEAS FOR GOOD


0コメント

  • 1000 / 1000